平凡アラサー男子のピリ辛ドイツワーホリ生活と海外旅行記

旅行編

負の世界遺産・アウシュヴィッツ強制収容所と歴史教育について感じた事

投稿日:2016年12月15日 更新日:

ポーランドのアウシュヴィッツへ

アウシュヴィッツといえば、ユダヤ人の絶滅収容所があったことで有名な地。
正確に言えば、アウシュヴィッツはドイツ名で、ポーランド語ではオシフェンチウムという地にあります。

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アウシュヴィッツには収容所が3か所あり、そのうちの最初に作られたものが「アウシュヴィッツ収容所」、他の2つが「ビルケナウ収容所」と「モノヴィッツ収容所」。
現在はアウシュヴィッツとビルケナウが公開されており、見学することができます。

働けば自由になる

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まず入り口に書かれているのが “ ARBEIT MACHT FREI” という、有名なドイツ語。

これは「働けば自由になる」と訳されているようですが、実際には働いても自由になることはありませんでした。

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収容所は高さ2mほどの柵で囲われています。有刺鉄線に電流を流し、脱走を阻んでいました。
もし仮に柵の外へ逃げることができても、この地はドイツ軍の占領下であり、逃げ切ることは難しかったようです。

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また、収容所内も男女で敷地が隔てられています。

これは「下等人種の子孫が増えないように」という考えのもとだったそうです。

ガス室

次はガス室です。
収容所へ送られ、労働力にならないと「選別」されたユダヤ人たちは、収容されることもなく、即刻ガス室行きを命じられました。

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天井に開けた穴から毒薬を投下しガスを発生させました。

また、ガス室にはフェイクのシャワーも取り付けられていて、収容者たちはガスが出るその瞬間まで、本当にシャワーを浴びるのだと思っていたようです。

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20~30分ほどユダヤ人たちはもがき苦しみ、息絶えたといいます。

これが使用されていたチクロンB。元々は殺虫剤として使われていたもの。空気に触れると有毒なガスが発生します。
ちなみに、これを製造していたメーカーは今でもあるそうです。

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死体は隣にある焼却炉ですぐに処分しました。

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没収された生活品

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金目のもの(金歯、コートなど)はルートがわからないように複雑化したうえで不足している地域に回しました。

持ち物はカバン一つと決められていました。当時10歳くらいだった少年のものもありますが、このカバンが彼の手に戻ることはありませんでした。

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人体実験と食事

人体実験の被害者となった子どもたち。
責任者のドクターはペルーへ逃亡し、捕まっていないそうです。

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一日の食事量。カビの生えたパンとスープ。

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これに1日11時間の労働が課せられれば、当然やせ細っていきます。

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ユダヤ人管理

ナチスは一部のユダヤ人に特権を与えて、彼らに他の大多数のユダヤ人を管理させました。こうすることでユダヤ人の間でも反感が芽生え、結束して反乱を起こさないようにしたのです。

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写真中央の黒い服の男性が特権を与えられてたユダヤ人です。
右にいるナチス(SS)は何もせずにほくそ笑んでいるだけです。

精神的に負荷がかかる死体の焼却などの仕事もナチスが自ら手を汚すことなく、彼らにやらせました。

死の壁

通称「死の壁」。
主にポーランド人の(ナチスを批判した)政治犯がここで銃殺されました。

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ポーランドでは彼らは国のために戦った英雄として扱われており、今でも訪問者によって花がたむけられています。

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ビルケナウ収容所

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戦争が進行するにつれ収容者の数が増え、アウシュヴィッツだけでは足りなくなったために建設されたのがこのビルケナウ。
規模はアウシュヴィッツの数倍あります。

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証拠隠滅のために戦争終了直前に破壊されたガス室。

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爆発しただけで放置したこと、またアウシュヴィッツのガス室は破壊しなかったことに、敗北直前のナチスの焦りを感じました。

犠牲者追悼の記念碑。

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「この地は絶望の叫び声と人類への警告を常に発している。ここでナチスは約150万人の男性、女性、子供を殺害した。そのほとんどはヨーロッパ各国から連れてこられたユダヤ人であった。」

各国の言語で書かれています。

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以上です。

個人的には、広島の平和記念資料館(原爆資料館)、ホーチミンのベトナム戦争証跡博物館と並ぶくらいの衝撃を受けました。

ヨーロッパでは、歴史教育の現場として毎日多くの学生が訪れます。
また、ここ10年くらいは訪問者数が毎年過去最高を更新しているようです。理由はいろいろあると思いますが、歴史を見つめなおすことが、現在においても、未来に向けても重要なことはこの事実が示しているようにも感じます。

一緒に行ったドイツ人の友人曰く、ドイツでは国内にある収容所を社会見学として訪れるようです。彼らにとってアウシュヴィッツは、我々日本人にとってよりも、はるかに重要な意味のある場所です。

ガイドの方がおっしゃっていたことで最も印象的だったのは、「何が起こったか」を知るだけでなく、「なぜそれが起こったか」を考えることが最も大切だ、ということ。
たしかに「知る」だけでは教科書やインターネットで見ることとあまり大差はないかもしれません。「なぜ起こったか」は、その前後の歴史の流れや周辺国との関係を知らずには考えられません。
なんでもかんでも教育とつなげてしまうのもどうかと思いますが、これからの世界ではこういった思考力、想像力が大事だと感じました。

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